ロケ地紹介:西宮

このページでは、「火垂るの墓」の制作において参考にされた兵庫県西宮市の風景を、映画のシーン順に紹介していきます。
写真は映画のシーンと出来る限り同じ構図で撮影しました。
撮影期間は2010年9月です。

説明文の後の「時間」は、「火垂るの墓」DVDの該当箇所の時間を基にしています。



母を亡くした清太と節子は西宮の親戚の家に居候しますが、そこに移動する際に降りた駅が夙川(しゅくがわ)駅です。
(20分19秒)


夙川駅は阪急神戸本線の停車駅であると同時に阪急甲陽線の起点となっている駅です。
清太と節子は三宮駅から移動してきたので、阪急神戸本線のホームに降りています。
(20分34秒)


夙川駅を降り、夙川の土手の上の道を歩く清太と節子。左手に橋が確認できます。
(20分42秒)


親戚の家は西宮市満池谷町にあったと思われます。高台と高台に挟まれた低地に集落があり、清太と節子の幽霊が、親戚宅へと向かう生前の清太を高台の上から見下ろすカットがあります。
(21分02秒)


西宮の親戚宅で世話になることになった清太は、焼け野原となった自宅の庭から埋めておいた食料を掘り出し、阪神国道(現在の国道2号線)をリヤカーを引きながら通っていきます。
映画では路面電車のレールが確認できますが、現在は撤去されています。
(24分21秒)


清太と節子がもらい風呂をしてもらった家から出てくるシーンです。
路地の右側に用水路があり、背後にニテコ池の堰が見える構図は変わっていません。
(26分09秒)


ニテコ池の堰から、直下の道を歩いている清太と節子をとらえるカットです。
映画では満池谷町一帯に田んぼが広がっていましたが、宅地化が進んだ現在は堰の直下にわずかばかり残っている程度です。
(26分59秒)


もらい風呂の後、清太と節子は多数の蛍が飛び交うニテコ池で遊んでいました。
満池谷町の集落の山側に現在もあります。
(27分11秒)


とある日、海へ向かう清太と節子が満池谷町の道を画面手前側に走ってくるカットです。
宅地化が進み、道路は舗装されていますが、道の左側に電柱、右側に用水路という構図は当時と変わっていません。
(31分13秒)


節子を肩車した清太が、夙川の土手を登ってくるカットです。
土手の上の道は大きなアスファルトの道になり、畑も無くなっていますが、松の木が立っているところは変わっていませんでした。
(31分22秒)


夙川橋です。この橋は夙川に架かる阪神国道(現在の国道2号線)の橋で、当時は路面電車が走っていました。
映画でも、清太と節子の前を路面電車が通っていきます。
(31分34秒)


やがて海が近くなり、かもめが夙川の上を飛んでいくカットがあります。
そして、映画に登場する橋と同じようなコンクリートの橋が、夙川の河口近くに架かっています。
映画本編では削除されていましたが、清太と節子がこの橋を渡るカットが絵コンテには存在しています。
写真右はそれと同じアングルで撮影したもので、清太と節子は奥から手前へと橋を渡ってきます。
それまで清太と節子は川の左岸を通ってきていたのですが、目的地である砂浜は川の右岸にあるので、橋を渡らなければいけません。
(31分44秒)


清太と節子が水浴びをしていた砂浜は香櫨園浜です。
映画では海が広がっていましたが、現在では沖合に埋立地があります。
(31分58秒)


画面が左にPANし、夙川の河口が映ります。夙川が運んでくる土砂と沿岸流によって河口砂州が形成されています。
(32分06秒)


海を眺める清太と節子。その後ろに建っているのは、度々会話に登場していた西宮回生病院の本館です。
改築されて建物の外観は全く異なりますが、砂防のために病院と砂浜に間に植林されているところは当時と変わっていません。
(32分08秒)


清太と節子が海に向かって砂浜を走るカットです。
(32分14秒)


海水浴をするために節子が服を脱ぐカットです。後ろに石垣の塀が見えます。
(32分17秒)


砂浜で追いかけっこをする清太と節子。その時に海側から見た夙川の河口が映ります。
映画の映像を見る限り、現在の河口は当時より川幅が大きくなってるようです。
(32分42秒)


やがて空襲警報のサイレンが鳴り、清太と節子は家に帰るために砂浜から街の方向に走り出します。
2人が走っていたのは画面右側の堤防の上の橋です。
(35分32秒)


病院の若い看護婦が、面会に来た母親と病院の玄関の前で対面するカットです。
先述したように病院の本館は改築されて大きく変わりましたが、病院の玄関の部分だけは当時の面影を残しています。
(35分39秒)


道の上でしゃがみこんだ節子が「お腹すいた」と言うカットです。
(35分53秒)


三宮の銀行で貯金をおろすした後、清太と節子が阪急電車で西宮に帰るシーンです。
車窓に六甲山系の山が映っています。
(41分18秒)


西宮のおばさんの「清太さん、また横穴行くんか。あんたらの年やったら隣組の防火活動するんが当たり前やないの」という声が聞こえる中、幽霊の清太が節子をおんぶしながら坂を登ってきて、堰の上からニテコ池を眺めるカットです。
(47分18秒)


映画では堰から見てニテコ池の右側に清太と節子が暮らした横穴があったわけですが、それらしき穴は撮影時にはありませんでした。戦時中ここに穴があったかどうかは不明です。
(48分55秒)


清太と節子が夙川の堤防上で米軍のP-51の爆撃を受けるシーンです。被弾を免れた清太は、畑でトマトを盗み食いをします。畑は宅地化により無くなっていましたが、川沿いの松並木は現存しています。
(60分23秒)


先述したように西宮市満池谷町は谷と谷の挟まれた集落ですので、至るところに写真のような階段があります。
映画でも、節子が盗んだジャガイモを自転車を押した警防団員の前で落としてしまい、ドキドキしながらすれ違った後のカットに階段が映っています。
(61分24秒)


病院で節子を診てもらった帰りに、夙川の堤防上で清太は氷の削りカスを節子の口にふくませます。
で、氷を扱っていた氷屋のおじさんは橋を渡って川向うの立派な屋敷に入っていきます。
(72分13秒)


「はにゅうの宿」が流れる中、お金持ちの家族が疎開先から懐かしい我が家へと戻ってくるシーンがあります。
ニテコ池の西側には戦前から関西の財界人の邸宅が立ち並ぶ高級住宅街があり、現地には映画に登場するそれと似たような坂や切通しがあります。
(79分56秒)


清太はとある丘の上で節子を火葬しますが、ニテコ池より山側の丘の上には実際に火葬場や墓地が存在します。
(82分47秒)


映画のラスト、清太と節子の幽霊の前に現代の街の夜景が広がります。
2人は現代の街を見て何を思うのでしょうか。
(85分28秒)


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