「火の7日間」と呼ばれる戦争によって巨大産業文明が崩壊してから1000年。錆とセラミック片に覆われた大地に、有毒の瘴気を撒き散らし巨大な蟲達が棲む”腐海”という菌類の森が広がり、衰退した人間の生存を脅かしていた。
その腐海のほとりに、海から吹く風によって腐海の瘴気から守られている人口500人程の辺境の小国・風の谷があった。族長・ジルの娘であるナウシカは、腐海を散策中に王蟲に追われたユパを助ける。そこでナウシカは、ユパが救った凶暴なキツネリスをすぐに手なづけてしまう。
2人が谷に帰ったその夜、隣国ペジテ市の虜囚を乗せたトルメキアの大型船が墜落する。船は「火の7日間」で世界を焼き尽くした旧世界の怪物・巨神兵の胎児を輸送していて、その重さに耐え切れなかったのだ。ナウシカはそこでペジテ市の王女・ラステルの最期を看取る。
翌日、トルメキア帝国の軍隊が谷を急襲し、ジルを殺害する。父を失って激高したナウシカは次々とコマンド兵を殺し、装甲兵をも剣で貫こうとする。その瞬間、ユパが間に割って入り、ナウシカの乱心を鎮める。「風の谷」は制圧され、トルメキアの辺境派遣軍司令官であるクシャナは、ガンシップと食糧を徴収し、人質5人をペジテ市に連れて行くよう命令する。ナウシカは人質として、5人の城オジとともにクシャナの軍に随行することになる。
最後まで読む
ナウシカ達が乗るトルメキアのバカガラスが、城オジや食糧を乗せたバージを引いてペジテに向かっていた。その途中、船団をアスベルが操縦するペジテのガンシップが奇襲する。バカガラスは全滅し、ナウシカはクシャナと城オジの1人であるミトを連れてガンシップで脱出する。行方不明となっていたバージを発見し、ナウシカはマスクを外して混乱する城オジ達を落ち着かせ、無事腐海の湖に着水されることに成功する。しかし、そこで王蟲に囲まれてしまう。ナウシカは王蟲と金色の触毛を介して交信し、敵意のないことを示す。交信が終わると、王蟲は目を真っ赤にして走り去っていく。異変を察知したナウシカは、城オジたちに1時間自分が戻らなければ谷に帰るように指示し、メーヴェで飛び立つ。
腐海に墜落したアスベルは、銃を使って自らに襲いかかる地蟲を殺していた。ナウシカは絶体絶命のアスベルを救出するが、ヘビケラの尾にメーヴェの翼がぶつかり地上へと落下。2人は流砂に飲み込まれ、腐海の最深部に辿り着く。そこはマスクが不要な程空気が澄んでいて、水や砂の結晶も清浄であった。ナウシカは、腐海の植物が大地を浄化し、蟲達がその腐海の森を守っていることを確信する。
メーヴェでペジテ市に向かったナウシカとアスベルは、そこに大量の蟲の死骸が転がっていることに驚く。ペジテ市は壊滅状態であった。呆然とする2人の前に、生き残ったペジテ市長らが現れる。彼らがペジテ市を占領していたトルメキア軍を蟲に襲わせていたのだった。しかも、風の谷のトルメキア軍を標的とした作戦の第2段も発動されたという。事実を知ったナウシカは、谷に知らせるためにメーヴェで飛び立とうとするが、市長らに取り押さえられ、アスベルともどもペジテのブリッグに収容されてしまう。
一方、風の谷では、森に胞子が残っていたことで大騒ぎになる。谷が腐海に飲み込まれるのを防ぐため、結局森は焼かれることになるが、これをきっかけに村人達が暴動を起こす。城オジ達が戦車を乗っ取り、村人達は砂漠に逃れて宇宙船の残骸に立てこもる。
ペジテのブリッグで監禁されていたナウシカは、ラステルの母の協力でペジテの少女と入れ替わり、メーヴェで脱出しようと試みる。しかし、そこにトルメキアのコルベットが急襲し、たちまちブリッグは制圧されていく。ナウシカは脱出をためらうが、アスベルが身を呈して彼女の乗るメーヴェを船外へ押し出し、自らは仲間とともに船内で必死に抵抗を続ける。コルベットはナウシカの存在に気づき、メーヴェを狙って砲撃する。そこへ、ミトの操縦するガンシップが駆け付け、コルベットを粉砕。ガンシップから飛び移ったユパがブリッグ内のトルメキア兵を制し、ペジテの人々を救う。
ミトとナウシカはガンシップに乗り、全速力で谷へと急ぐ。その途中、目を真っ赤にした王蟲の大群に遭遇する。ペジテの飛行ガメが、王蟲の子を囮にして大群を呼び寄せていたのだ。ミトはガンシップで飛行ガメを撃ち落とそうとするが、ナウシカはこれを制止し、ガンシップからメーヴェに乗り換えて飛行ガメに乗るペジテ人を説得しようとする。しかし、ペジテ人はナウシカを敵だと思い込み、メーヴェを狙って固定砲を撃つばかり。業を煮やしたナウシカは、メーヴェの上で仁王立ちになり、肩と足を撃たれながらも飛行ガメに飛び込んで酸の湖(うみ)の中洲に落下させる。王蟲の子を群れに返そうとするものの、怒りで我を忘れた王蟲は暴走を止めず、谷に向かって突進していく。ナウシカは、飛行ガメで王蟲の子と自分を谷へ運ぶよう2人のペジテ人に命令する。
風の谷では、トルメキア軍と宇宙船に立てこもった村人との膠着状態が続いていた。いよいよトルメキア兵が攻撃を開始しようとした時、ミトの乗ったガンシップが到着し、避難を勧告する。谷の人間は避難したが、クシャナは培養中の巨神兵を復活させて王蟲の大群を撃退させようとする。しかし、巨神兵は復活させるには時期尚早で腐りかけており、光線を2回発射させただけで倒壊してしまう。そこへ、ナウシカが王蟲の子と一緒に王蟲の大群の目の前に降り立つ。王蟲はナウシカを突き飛ばし、宇宙船にまでも突進する。すると、突然王蟲の攻撃色が消えていき、突進も止まる。王蟲の触毛で持ち上げられたナウシカは、その不思議な治癒能力によって蘇る。そして、金色の触毛の上を歩くナウシカの姿は、「その者、青き衣をまといて金色の野に降り立つべし」という古い言い伝えの通りであった。
こうして「風の谷」は救われ、王蟲は森へと帰っていった。トルメキア軍は撤退し、アスベルはユパとともに旅に出ていく。浄化された腐海の最深部では、ナウシカのヘルメットの横でチコの実が芽を出していた。
折りたたむ
|