2008年7月28日、小田部羊一氏の初の画集が出版されることを記念して、出版元のアニドウさんが記念イベントを開きました。会場は荻窪駅から徒歩で5分以内の場所にある杉並公会堂です。入場するには1000円の会費を払わなければいけませんが、私は画集を予約していたために無料で入ることができました。画集予約者には前もって招待状が送られてきていたのです。
イベント開始は19時、開場は18時30分ということで、仕事を早めに切り上げて会場には18時40分頃に到着しました。
会場は地下の小ホールだったのですが、準備が整ってないためか、まだ開場されていませんでした。
入口の前にはすでに30人程の行列ができていました。小田部さんのイベントとあって年配の方が多かったですし、会話から察するに、アニメーション業界の方も多数いらっしゃっていたような気がします。先着30名に小田部さん直筆のサインが貰えたのですが、到着が遅かったためにすでにサインの受付は終了していました。
準備がかなり遅れているようで、19時になっても開場せず、先に画集を受け取ることとなりました。
14700円と結構な値段がするのですが、貴重な資料が満載で買ってよかったと思っています。
私は、200部しかない予約者限定版を手に入れました。通常版の表紙はハイジなのですが、限定版はマルコになっているのです。
19時10分頃にようやく開場し、ようやくホール内に入ることができました。参加者は150人くらいいたでしょうか。
小田部さんのトークの前に、まずは「母をたずねて三千里」の第2話が上映されました。三千里の第2話と言えば、マルコがジェノバの街を走り抜けるシーンがありますが、そのレイアウトが非常に秀逸だと評価されています。
上映終了後、いよいよ小田部さん(写真中央)が登場し、アニドウ会長のなみきたかし氏(写真左)らとの対談形式でトークが繰り広げられました。冒頭、小田部さんは「生きているうちに自分の画集が出るとは思っていなかった」と発言されていましたが、これは小田部さんの先輩アニメーターである故・森康二氏の画集が死後に発売されたことを意識してのことだと思われます。
対談は非常に和やかな雰囲気で進んでいきました。「アルプスの少女ハイジ」や「母をたずねて三千里」の制作エピソード、画集発売に至る経緯が語られ、宮崎駿監督の最新作「崖の上のポニョ」にまで話題が及びました。
ハイジや三千里の制作はテレビアニメであるだけにスケジュールがきつく、その上高畑監督が厳しい要求をするために非常に辛い仕事だったらしいです。その過程で生まれたイメージボード、キャラクター設計図、レイアウト画、原画といった貴重な資料は、通常は捨てられていくものですが、小田部さんの奥さんである奥山玲子さんがきちんと保存していたために、画集を出版するにあたって非常に助かったとのことでした。その奥山さんが画集の出版を待たずに2007年5月に他界されたのが残念でなりません。
「崖の上のポニョ」に関しては、ダイナミックな波の表現を非常に高く評価されていました。あの波の動かし方は宮崎さんがメインスタッフとして関わった「どうぶつ宝島」からずっと使い続けているものらしく、ポニョの波も小田部さんは手放しで褒めていました。また、「スタジオジブリ・レイアウト展」の開催中とあって、終始レイアウトに関する話題が多かったです。
対談は40分弱ほどで終わり、その後は「アルプスの少女ハイジ」の第2話が上映されました。
時間はそれほど長くありませんでしたが、直接生で小田部さんの貴重な話が聴けて、とても有意義な時間を過ごすことができたと思います。小田部さんはテレビなどで拝見していた通り、非常に温厚な雰囲気でした。
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