公開初日舞台挨拶

宮崎駿監督の新作「崖の上のポニョ」の公開日である7月19日、初日舞台挨拶を見るために東京・千代田区の日比谷スカラ座に行ってきました。今作が最後の長編になるかもしれないこと、次回作があったとしても舞台挨拶に立つ保障はないことを考えると、公の場で宮崎監督の姿を見ることができるのは今回が最後の機会になりそうだったので、高い競争率の中、苦労してプラチナチケットを手に入れたのでした。


舞台挨拶が行われるのは、午前10時の回上映終了後です。日比谷スカラ座に到着したのは午前9時半前でしたが、すでに行列ができていました。報道陣の姿もありました(黄色の服を着た方の周囲の人たちがそうです)。
しかし、この行列は舞台挨拶の回以外の上映目当ての人たちによるもので、私は行列を横目に悠々とスカラ座の地下から入場できました。帰り際は混雑するので、上映前にパンフレットを購入。劇場内での撮影・録音が禁止となっているため、そこでの様子は文章のみでの説明になります。

まだ上映開始30分前でしたが、すでにかなりの人数の客が入ってました。プラチナチケットであったためか、家族連れはあまり見られず、客層は20代・30代が中心でした。劇場内ではポニョの主題歌が繰り返し流れていました。
パンフレットを読んでいるうちにあっという間に30分が経ち、いよいよ上映開始。本編が始まるまでの予告編が異様に長く感じました(笑)。実は前日いろいろと用事があって、寝不足のまま日比谷スカラ座に足を運んだわけですが、「崖の上のポニョ」鑑賞中の100分間は睡魔とは無縁でした。ここで詳しい感想を書くことは避けますが、少なくとも退屈することはない快作であったと思います。

上映終了後、おびただしい数の報道陣が劇場内に入ってきて、通路を埋め尽くしました。そして、檀上には今回の舞台挨拶の司会を務める日本テレビの藤井貴彦アナウンサーが登場。上映中に地震が起こったことを伝え、「気づいた方はいらっしゃいましたか?」と質問しましたが、会場はほぼ無反応。私もさっぱり気がつきませんでしたし、多くの観客も同じだったようです。全席指定にも関わらず、一番乗りの男性は午前5時半から並んでいたようで、「祝!ポニョ公開 制作おつかれさまです」との横断幕を持ち込んだ人たちもいて、会場に詰めかけたファンの熱意が伝わってきました。
5分程経った後、宮崎監督らゲストの面々が登場してきました。スクリーンに向かって左から宮崎駿監督、奈良柚莉愛ちゃん、所ジョージさん、長嶋一茂さん、山口智子さん、天海祐希さん、土井洋輝くん、柊瑠美さんの8人が並び、まずは宮崎駿監督の挨拶から始まりました。

宮崎駿監督は、上映中に地震が起こったことに触れ、「ポニョがいるのかなと(笑)」と冗談を言って会場を沸かせました。そして、「本当に暑い時間に、こんなにたくさんの方に来ていただいてありがとうございました」と締めくくると、会場は大きな拍手で包まれました。
続いて挨拶を行なったのはリサ役の山口智子さんです。1番好きなシーンにポニョが再び宗介に会いに行くシーンをあげ、その時のポニョの純な気持ちを「女の本質」と表現していました。司会の藤井アナから「その女の本質は、山口さんもお持ちなんですか?」とツッコミを入れられると、「もちろん!皆さんもお持ちですよね?」と返していました。
次は耕一役の長嶋一茂さんです。長嶋さんは昨今の子供たちに様々な問題が起きていることに触れ、「大人たちは今、本当に子供たちを守ったり、救ったりしていかなければならない時代が来ているなと思っています」と参加者の中ではやや固い挨拶を行なっていました。また、自身の4歳になる双子の娘の話題になると、「今日帰って(ポニョの声優を務めたことを)自慢できるのが一番うれしいです」と父親らしい一面も見せていました。
次に挨拶を行なったのはグランマンマーレ役の天海祐希さんです。天海さんは宮崎作品が本当に大好きだったようで、ポニョの声優に参加できて嬉しかったことを終始強調していました。アフレコでは宮崎監督から「もっと色っぽくお願いします」と注文されたようで、「そんな私に一番難しいことを!」とその時の心情を明かして会場の笑いを誘っていました。さらに、藤井アナから「楽屋でも大興奮でしたからね」と舞台挨拶前の様子を暴露されると、「すみません」と照れくさそうにしていました(笑)。
そして、大人チーム4人の最後に挨拶を行なったのがフジモト役の所ジョージさんです。ラフな格好で登場した所さんは、「子どもたちがこんなしっかりした格好をしているので、嫌な大人になっちゃったな」と言って会場の笑いを誘っていました。そして、所さんが実は1人2役であり、宮崎監督の指示によりフジモトが操る波の「オォ〜」という効果音も担当したことも明らかにされました。
大人チームの挨拶が終わり、司会の藤井アナが「この4名と仕事をされてみていかがだったでしょうか?」と再び宮崎監督に話を振ると、監督は「いろいろな意味で幸運に恵まれていたんですね」と声優陣の仕事ぶりに満足しているご様子で、さらに今回のアフレコが別々に行なわれ、初めて顔を合わせる人もいることを明かしました。
大人チームの次は子供チームということで、次に挨拶を行なったのはポニョ役の奈良柚莉愛ちゃんです。かなり緊張していましたが、「今日は観に来てくれてありがとうございました」と挨拶すると会場は大きな拍手に包まれました。藤井アナに一番好きなセリフは何かと質問されると、「宗介に『大好き』というところです」と答え、さらに藤井アナに「やってみてもらえるかな?」と言われると、恥ずかしそうにしながらも大きな声で「ポニョ、宗介好き!」と言って会場を沸かせました。
続いて挨拶を行なったのは宗介役の土井洋輝くんです。「宗介くんは僕の目標です」「僕の宗介くんの声を絶対に忘れないでください」などとマセた挨拶をして会場を大いに沸かせました。藤井アナに「宗介を演じて一番心に残っていることは何ですか?」と質問されると、「人間のポニョも。半漁人のポニョもお魚のポニョも、みんな好きだよ」というセリフが一番好きであると答えていました。
子供チームの挨拶が終わって、声優陣の最後に挨拶を行なったのは柊瑠美さんです。今回の出演が急なオファーによるもので、アフレコ当日は何の役を担当するのかもわからずに臨んだことを明らかにしました。柊さんは7年ぶりに会った宮崎監督に「変わってない」という印象を持ったらしいのですが、逆に宮崎監督は柊さんに再会した瞬間「美人になった」と思ったらしく、そのことで会場の笑いを誘っていました。
声優陣の挨拶が終わると、最後は再び宮崎監督が挨拶をしました。日本のアニメーションがほとんどシャープペンシルか電気で作られている中、「もう一度鉛筆を取り戻そう」ということで「崖の上のポニョ」を作ったことを明かし、「この映画が皆さんにどう受け入れられるかということが、自分たちの未来に繋がっていると思います」とこの作品に寄せる思い入れの大きさを語って舞台挨拶を締めくくりました。

舞台挨拶が終わると、まずは報道陣が先に退場し、我々一般客が退場できるようになるまで少々時間がかかりました。あちこちから映画の感想が漏れ聞こえてましたが、女性や子供からは概ね好評だったようです。男性陣を中心に、不満の声も結構聞こえてきましたが・・・。


映画館から出ると、入場前にはなかったポニョの看板が設置されていて、ここで舞台挨拶に登場した8人が並んで写真撮影が行われていました。撮影が許されているのは報道陣のみで、残念ながら我々一般客の撮影は係員により制止されていました。

映画館を後にし、向かった先は東京メトロ有楽町線の有楽町駅。せっかく都心までやって来たので、その足で池袋のサンシャインシティで開催されている「崖の上のポニョ展」に行こうと思ったのでした。有楽町線なら、池袋まで乗り換えなしで行くことができます。次のページでは、「崖の上のポニョ展」の様子をレポートします。


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